1 )痒疹は急性痒疹・慢性痒疹(結節性・多型慢性)・色素性痒疹・妊娠性痒疹に分けられるが、発病年齢や性別・発生部位なども型によって少しづつ違いがある。
2 )種々の基礎疾患があり、何らかのアレルギー反応により痒疹が発生すると思われる。
3 )治療は抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤の内服とステロイド外用剤であるが、難治性で治りにくい。場合によっては液体窒素による丘疹~結節の凍結療法が有効な事もある。
痒疹は子供に多い急性痒疹と成人に多い慢性痒疹と特殊な病型を示す色素性痒疹・妊娠性痒疹に大別されます。病型分類も様々で色々な意見がありますがここでは一番一般的に使われている分類に従ってお話しましょう。基礎疾患は種々で原因についても色々な意見も出されてはおりますが、私自身はこれらも一種のアレルギー反応であろうと考えております。
急性痒疹は子供に多く、刺虫症に続いて起こるもの(昔で言う小児ストロフルス)や蕁麻疹の一型として出現するものなどがあります。症状は特に夏季に激しい痒みを伴う小丘疹~小結節が四肢に多発します。虫に注入された微量の化学物質や毒素に対するアレルギーと考えられます。または何らかの原因による蕁麻疹が変化して痒疹となる可能性もあります。
慢性痒疹
慢性痒疹は成人に多く、四肢・躯幹に激しい痒みを伴う丘疹~結節が多発する結節性痒疹と、高齢者の躯幹・大腿部に痒みと共に紅斑・苔癬化局面と結節が混在する多型慢性痒疹があります。
慢性痒疹の基礎疾患としてはアトピー性皮膚炎・糖尿病・痛風・肝臓疾患・白血病などが挙げられ、これらの基礎疾患から痒疹発現までの機序として色々な原因が想定されていますが、やはりアレルギーの関与が一番考えられると思います。特にアトピー性皮膚炎は元々アレルギー性疾患なのでアトピーに伴う痒疹を独立してアトピーから発生した痒疹と言うのが良いか、痒疹をアトピーの皮疹の一部であると言うのが良いか迷う所でもあります。
色素性痒疹・妊娠性痒疹
色素性痒疹は思春期女性の胸背部に好発し、痒みとともに蕁麻疹や紅斑に続いて色素沈着を起こすものです。
妊娠性痒疹は妊婦の四肢に妊娠3~4ヶ月頃から発生し分娩と共に消失します。第1児の時は余り発生せず、2回目の妊娠から多く発生します。
治療
痒疹の治療は抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤の内服とステロイド外用剤が基本になりますが、痒疹は痒みが中々止まらず難治性であり基本療法だけでは治療効果が上がらない場合が多々あります。場合によっては一時的にステロイドの内服を行ったり、ステロイドの局注をする場合もあります。
それともうひとつ皮膚科専門医の先生でも知らない方がみえるとは思いますが、液体窒素による丘疹・結節の凍結療法もかなり効果があります。特に妊娠性痒疹の場合は妊娠中なので抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服が出来ずこの凍結療法と外用剤を併用するのが良いと思います。