汗疱と汗疱状湿疹について
要約
1 )掌・足の裏に汗をかきやすい人は毎年春と秋に掌・足の裏に汗疱という小水疱ができる。この汗疱が破れて湿疹化したものを汗疱状湿疹という。
2 )掌・足の裏に汗をかきやすいという体質が基になっているので完全に出なくすることはできない。
3 )この病気は治そうとするのではなく、いかに上手にコントロールするかがポイントで、予防法と治療をきちんと行って上手に病気と付き合うこと。
はじめに
毎年春と秋になると手や足の皮膚が剥けるといってくるお子さん達がいます。これが「汗疱状湿疹」です。このようなお子さんの掌を触ってみますとほとんど例外なく汗で湿っており、ひどいお子さんではベタベタに濡れています。この「汗疱状湿疹」は後で述べる「汗疱」という病気(状態)がひどくなって湿疹化したものです。では汗疱からお話しましょう。
汗疱
掌・足の裏に汗をかきやすい人は毎年春と秋に掌・足の裏に1~2mmの小水疱ができます。これが汗疱です。あるいは指の外側、つまり指の背面と腹面のつなぎ目に小水疱ができることもあります。これは汗が完全に皮膚から外へ排出されずに表皮の下に貯留した状態です。ただ不思議なことに真夏には見られないため、「汗腺からの汗の排出孔である汗管が春と秋は汗の量に比して充分開いてないため」とか、「真夏に比べて汗の量が中途半端なため」とかいろいろ言われていますが本当の所はまだ判っていません。ただ春と秋に症状が出現し夏はほとんど見られないのは確かです。冬も見られません。汗疱自体は自覚症状はほとんどなく痒みも痛みもありません。
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