掌蹠膿疱症について

要約

1 )この病気は細菌やウィルス・金属に対するアレルギーが原因であり、手のひら・足のうらに多 数の小膿疱が出来るのが特徴である。

2 )感染症に対する治療とアレルギーに対する治療を行う。

3 )長くかかる病気であり、根気よく治療することが必要。

はじめに

掌蹠膿疱症は「しょうせきのうほうしょう」と読みます。文字通り掌(手のひら)蹠(足のうら)に膿疱(直径1~2mmの小さい水ぶくれですが、ただし水ぶくれの内容物が水様性の透明な物ではなく膿(うみ)であり白~黄色に濁っているのが特徴です。)が多発する病気です。そしてその膿疱の周りに赤い斑(紅斑)が多数みられます。軽度の痒みもあります。

原因

この病気の原因はいろいろな説が有りますが、ウィルスや細菌に対するアレルギー説や金属に対するアレルギー説が有力です。一般的には虫歯・蓄膿症・扁桃腺炎・胆嚢炎などの慢性の細菌感染症があってその細菌に対するアレルギーだと言われておりそれぞれの治療をしっかり行うことが基本ではありますが、この病気は感染症そのものではなく細菌などに対するアレルギー性疾患ですので元の感染症を治せばすぐに治るというものではありません。感染症の治療をしてもこの病気に対する効果はかなり遅れて出てくるか、あるいはあまりはっきりしない場合が多いのです。ただ患者さんがよく悪くなる原因としておっしゃるのは風邪をひいた時です。

私が治療中の患者さんでも「風邪をひいたら悪くなった」といってみえる方が大勢いらっしゃいます。あともう一つ、これは教科書的には認められた原因ではありませんがなぜか私のみている患者さんで油を使う職業(機械修理など)の人が多く油を使って仕事をしたら悪くなるという人も大勢みえます。また,金属に対するアレルギーでは,特に歯科金属によるアレルギー反応が一因と考えられていることもあり,歯科金属のパッチテストを行い,原因の検索・除去に努めることも有意義と考えられています。

また膿疱が症状のため「その膿に細菌がいて人にうつるのではないか」と心配される方がみえますがこの点は心配ありません。この膿疱は専門的にいえば「無菌性膿疱」というものでふつうの膿のようにこの中には細菌はいません。あくまでこれはアレルギー反応で出現した膿ですので人にうつる可能性はありません。

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症状と鑑別診断

前に記述した通り手のひら・足のうらに小さい膿疱が多数できます。そしてその周辺に紅斑ができ痒みがあります。ただしこれは初期疹で、日にちが長く経過したり治療をすると膿疱が消え、紅斑と皮膚表面がめくれた状態が残ります。この時点で発疹をみると単なる湿疹と変わり有りません。従ってこの段階で受診された場合には以前に膿疱があったかどうかが診断の決め手になります。また治療により良くなっていても何らかの原因で再び悪くなるときに紅斑だけが出たり、膿疱も出現したりすることがあります。

よく似た症状の病気には汗疱(状湿疹)や白癬がありますが,皮疹部の直接検鏡で診断は出来ます。またもう一つ膿疱性乾癬という病気があります。これは体中に分厚い慢性湿疹のような皮疹(乾癬は本当は炎症性角化症の一種ですので湿疹とは違い皮膚の角質層が炎症と共に増殖して分厚くなったものです)が出きその皮疹の中に無数の膿疱(無菌性膿疱)ができる病気です。掌蹠膿疱症が手のひら・足のうらだけなのに対し膿疱性乾癬は全身の皮膚に出現し、発熱や関節痛などの全身症状があることが特徴です。ただ炎症を伴う無菌性膿疱が主体と言う意味では同じなので、掌蹠膿疱症を膿疱性乾癬の一部分現象と考えている研究者もいます。

 

治療と経過

治療は原因になっている細菌・ウィルス感染に対する治療と掌蹠膿疱症に対する治療に分けられます。 感染症に対する治療は虫歯・蓄膿症・扁桃腺炎・胆嚢炎などが原因と考えられる場合にはそれぞれの専門医を受診する必要があります。ただこれらの原因が無さそうな場合には試験的に抗生物質の内服をしばらくしてみるのも一法でしょう。これだけで良くなって来る方もいらっしゃいます。

次は掌蹠膿疱症そのものに対する治療ですが、これは炎症を抑える治療とアレルギーを抑える治療を行います。具体的には抗アレルギー剤の内服とステロイド外用剤の外用を行います。痒みが強い場合には抗ヒスタミン剤の内服も併用します。また長波紫外線照射も有効です。この病気は経過が長く皆さん4~5年は治療してみえます。その間に治療によって良くなったりまた風邪をひいて悪くなったりの繰り返しです。ただ不思議と皆さん4~5年たつと治療しなくても皮疹が出なくなったり風邪をひいても再発しなくなったりしてほぼ完治状態になります。長くかかる疾患ですので気長に根気よく治療を続けましょう。

 

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