皮膚アレルギー性血管炎について

要約

1 )皮膚アレルギー性血管炎は風邪等の後にウィルスや細菌に対するアレルギーが起こり、下腿の血管に炎症を起こし出血斑や紅斑が出る。

2 )血管炎が皮膚だけの場合は問題ないが、腎臓の血管にも炎症が起こる可能性があるので血液検査が必要。

はじめに

皮膚アレルギー性血管炎は余り馴染みの無い病気とは思いますが、よく見かける病気です。症状は下腿の点状出血斑や紅斑で余り痛みや痒みが無いので本人も気付かずにいる事が多い。しかしこの病気は後述のとおり重大な疾患の一部として現れることもあるので、下腿の点状出血斑や紅斑を見つけたら必ず皮膚科専門医に受診してください。

原因

ウィルス・細菌感染(風邪等)の後でウィルスや細菌に対するアレルギーが起こり、起炎物質(免疫複合体:IgA・G・M等)が血液中で増加して、血管の内壁の細胞に付着して血管の炎症を起こします。その結果壊れた血管壁から出血して点状出血斑になったり、炎症の症状として紅斑になったりするのです。この病気を別名IgA免疫複合体沈着性血管炎ともいいます。

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症状

風邪をひいた後や寒いところに長時間立っていた後等に下腿に出血斑や紅斑が出て、稀に発熱や関節痛があります。痒みや痛みは無いかあっても軽度です。ただこの病気は皮膚だけに起こるものならさほど問題にはならないのですが、問題はこの血管炎が皮膚だけでなく腎臓の血管でも起こる可能性があるという事です。

腎臓の血管でこれが起こるとIgA腎症という状態になり、腎機能障害が出てひどい場合には腎不全にもなり得ます。従って我々皮膚科医はこういう下腿の出血斑をみたら、血液検査をしてIgA・G・Mと腎機能等の検査をして腎臓に異常はないか、腎臓に来るタイプかどうかを鑑別する必要があります。IgA・G・Mと腎機能に問題がなければ皮膚の血管の炎症だけですので心配はありません。

 

治療法

腎臓に問題がなくて皮膚だけなら抗アレルギー剤の内服とステロイドの内服・外用で1~2週間で治ります。腎臓に問題がある場合には内科受診が必要です。また風邪等があればそれに対する治療も必要です。

 

生活上の注意点

皮膚だけのタイプはそれほど再発性はありませんが、風邪をひく度に再発する人もいます。そういう方は風邪をひかないように注意すること、風邪をひいたらすぐに皮膚の治療も始めること等が注意点です。その他寒い所で長時間立ち仕事をすると出る場合もありますので注意が必要です。

 

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