尋常性白斑について
要約
1 )尋常性白斑は皮膚の色を形成する表皮基底層にある色素細胞が、メラニンを産生しなくなったり色素細胞そのものが減少・消失することにより起こる色素脱失斑です。
2 )体中どこでも発生する一般型と、神経1本分の支配領域だけに発生する皮膚分節型に分けられます。病因としては一般型は自己免疫説、皮膚分節型は限局性自律神経障害説が有力です
3 )治療はPUVA療法、塩酸カルプロニウム液外用、ATP・グリチルリチン内服等を行いますが、非常に治りにくく長くかかります。また色素脱失の程度が軽く、うっすらと白いだけの場合には却って治療しない方が目立たなくて良い場合もあります。
はじめに
皮膚の色は皮膚の表皮基底層にある色素細胞が産生するメラニンという物質により形成されます。尋常性白斑は様々な原因で色素細胞がメラニンを作らなくなったり、色素細胞そのものが減少・消失する事で皮膚に色素脱失斑が生じる疾患です。そしてこの色素脱失斑の周囲の正常皮膚部分は、僅かながらメラニン生成が活発になり少し茶色くみえる事が多いのです。その結果色素脱失部分の白さがより際立って見えます。
2つの病型と病因
白斑が発生する場所によって2つの病型に区別されます。
a )一般型(古賀A型)
特定の場所ではなく体中どこにも発生します。白斑の大きさも範囲・形も様々で、病因としては自己免疫説(抗メラニン・抗色素細胞産生説)が有力です。ただそれ以上の事は現在まだ判っていません。
b )皮膚分節型(古賀B型)
神経1本分の支配領域に一致してできますので、必ず片側性(左右どちらかしかできない。)に出現します。比較的若年者に多く悪性貧血・甲状腺機能亢進症・アジソン病等に合併することもあります。病因としては限局性自律神経障害説が有力です。もともと色素細胞は神経細胞と起源が同じで神経の支配を強く受けていますのでストレス等でも起こり得ます。例えば「苦労すると白髪が増える。」という現象もこれです。ストレスで毛髪内の色素細胞がメラニンを産生しなくなり白髪になります。
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